POINT OF VIEW ポイントオブビュー

伸張するネット動画広告

今別府 亮

フォーミュレーションITS社長

Youtubeなどに表示される、動画広告の市場が拡大しつつある。今年3月に発表された19年の「日本の広告費」の統計によると、インターネットの広告費が、ついに地上波テレビの広告費を超えた。
中でも伸び率が最大だったのは動画広告で、19年は前年比57%増の3184億円だった。サイバーエージェントによると23年には5065億円に達すると予測されている。近年ここまで、動画広告が普及した理由は、いくつか考えられるが、通信回線の向上や、スマホの普及率が要因として挙げられるだろう。
一昔前まではテレビやインターネットでしか触れることのできなかった動画が、いまでは手軽に楽しむことができる。ある調査によればスマホの起動回数は1日約150回になるという。動画に触れる機会は格段に増えたと言っていい。
また現在の4Gから5Gへ移行が進むと、通信回線のさらなる向上が見込まれ、ますます動画に触れる回数や、広告を目にする時間が増えていくはずだ。

その一方で、いま問題になっているのが、視聴者が募らせる動画広告への不快感だ。ある調査によると、動画広告を不快だと感じる人は実に67%にもおよぶという。コンテンツの視聴中に邪魔をされる、広告をスキップできないことがある、というのが、主たる理由だ。さらに、その広告が原因で、企業にネガティブな印象すら与える可能性も指摘されており、本末転倒な事態になりかねない。
動画広告へ対する評価は、テレビ以上にシビアだ。ネット動画が人々に受け入れられた、いちばんの理由は、自分のペースで視聴することができるという点だ。テレビとは違い、放送時間を気にすることなく、自分の好きなタイミングで、動画を見ることができる。このポイントが、視聴者の心をうまくつかんだ。しかし、動画広告は、この自分のペースを乱してしまい、ストレスになりかねないのだ。

実際、テレビCMと違い、動画広告において、好感度が高く、話題性のあるコンテンツは少ない。動画広告の場合、3秒で視聴者の心を掴めないと終わりであるといわれており、ハードルは極めて高い。どの動画広告コンテンツも、視聴者に受け入れられるための、改善の余地を残している。今後新しい発想を持った広告が現れるのか、注目である。
また広告業界において近年話題を集めているのが、ネット動画広告やテレビCMに比べ、広告効果が高いといわれるシネアドだ。シネアドとは「シネマ・アドバタイジング」の略で、映画館などのスクリーンで上映するCMのことをいう。
一回の広告接触によって得られる効果が、ネット動画やテレビに比べ、段違いだという。集中できる環境で広告を見ることができる点が、理由と言えるが、視聴者にとっても、広告から受けるストレスが極めて少ないようだ。つまり、それだけ受け入れやすい宣伝ということになる。今後伸びしろを残すネット動画広告と効果の高いシネアドが、テレビCMを追い込む日は近いのかもしれない。

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