POINT OF VIEW ポイントオブビュー

NTTコミュニケーションズ エバンジェリスト

村上 守

モチベーションを維持する仕掛け


小学校の図工の時間を思い出してほしい。画用紙、絵具、筆とみな同じものを使い、テーマも同じであるが出来上がる作品は生徒それぞれまったく異なり個性的なものとなる。先生は道具の基本的な使い方を教えるだけだが、先生よりも豊かな感性や技法を知っている生徒も中にはいて、県や市の展覧会で金賞をとる者もいる。職業人としての画家や文豪になるのは稀だが、ユニークな作品をつくり出すという意味では、ソフトウェア技術者もある意味、芸術家に通じるかもしれない。

さて、クラウド、SDN、IoTやAIなどソフトウェアで実現する付加価値が増大し、その比重が高まっている。また、多くのソフトウェアを生業としない企業においても社内業務システムやサービス提供システムの基盤としてクラウドサービスなどを利用し事業に役立てている。
ソフトウェア開発プロセスの設計・実装・試験を実装で折り返してV字型に表したモデルがある。
プロジェクトの全体レベルを把握する必要のある最上流の要求分析や最下流の受入テストなどの工程にいきなり新人を投入するのは間違っている。

それは描き手のこと、絵具や技法を知らないのに、絵の描き方の指導や作品の審査評論を要求するようなものだ。実装工程は前工程からの仕様書や設計書の行間を埋めたり曖昧性を排除しつつ自ら記述したコードという形でアイデアを具現化し、そのコードを後工程で妥当性や品質担保をする。無から有を生み出す真の工程である。工業製品は仕様や設計が一度決定すれば、製造ラインで同じものを大量につくることができる。しかし、この工程はプログラマの能力に極めて強く依存し、生産性や品質はプログラマによりまちまちで100倍以上違う。
短納期、急な仕様変更、深夜のデバッグなど「作る苦しみ」も多いが、自らの知識・技能を駆使して革新的なアイデアをお客様に提供し称賛をいただくなど知的生産活動の「創る楽しみ」を一度知ってしまえば、自律的かつ能動的にすくすくと成長を開始する。

ソフトウェア技術者は、小さな成功と発見した技法の積み重ねを繰り返すことにより次第にV字モデルの両腕を上りつつ大きなソフトウェアの開発ができるようになる。最初は自分が楽になるために、自分が使うサービスやソフトウェアの改善から始めてもかまわない。

一見、本来業務とは無関係な改善提案やアイデア実現のためにコードを書き始めた新人や若手は会社にとってのダイヤの原石である。だからこそ磨かなければただの石であり、磨くからこそ宝石になれる。
ソフトウェア技術者に限らず、後身を指導したり業界に貢献する人材を確保・育成することは、一朝一夕にはできず、5年、10年と長い期間が必要な非常に難しいものである。「発想の原点」「創造の原点」そして「挑戦の原点」としての場を提供し、モチベーションを維持する仕掛けや組織文化を形成することは、今後の生き残りの重要なファクタとなるのではないだろうか。

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